もう一軒は、神田にある「室町砂場」である。
ここでも“うどん前”としゃれよう。
お通しの梅くらげ、玉子焼きにお新香でいっぱいやってからと思ったが、調子に乗ってきた。
ねぎ焼きに小田巻蒸しも天ざるも頼んでしまえ。
そしていよいよ『あんかけうどん』である。
こちらは、玉子焼きにエビ、椎茸、蒲鉾、三つ葉、麩という布陣である。
とろみ具合が強く、うどんを持ち上げる手が重い。
うどんはどこまでも柔らかく、この主張のなさがあんのとろみと合うんだな。
玉子焼きは上品な味わいで、椎茸はしっとりと味がしみている。
こちらも酒の肴になる。
おじさん一人、『あんかけうどん』をつまみにして、燗酒をゆっくりとやる。
そんなゼータクな午後があってもよろしいじゃございませんか。